チャクラの秘密とは何だったのか?

チャクラは本当にあるの?

ヨガだけでなくスピリチュアルなシーンでも、チャクラはよく出てくる言葉。だから、日常的に会話の中でも使っていた。本誌でも、本誌の前身である『Yogini』でもよく記事を作っていた。けれど、考えてみるとしっかりと特集としたことがなかった。だから、今号ではチャクラをやろうということになった。「よく知っている」から特集にしてもそれなりにスピード感を持って作れるだろう…という安心感もあった。今思えば、だいぶ乱暴な感覚だったけど。

でも企画を考えていくと、知っているからこそ「予定調和」になってしまい、自分でも「うーん」という感じで、意外に難しい。案の定、編集長からダメ出しをもらい、まごまごしている時に与えられた命題は「チャクラって本当にあるの?」だった。

まさかの問いかけ。自分としては、チャクラの使い方次第で感覚は変わるし、あるワークショップでチャクラに実際に触った体験もある。撮影中、インストラクターへのチャクラに関する言葉がけでアーサナが変わった経験もある。だから、当たり前になっていたチャクラの存在に対しての、疑問視。え、そこから??? が最初のインパクト。

確かに、言われてみれば「見えないから、本当にあるかどうかは」わからない。概念としてチャクラはあるけど、それは幻かもしれない。概念を共有できているだけかもしれない…そう考えたとしても、まったく不思議ではない。ヨガやスピリチュアルから離れれば、チャクラを知っている人はとても少ないのだから(その昔、チャクラという名前の競走馬がいたが)。

と順序よく考えていくと、言われていることは「そうなるか…」と納得するしかなく、一方では、それをひもといていくのは面白そうでもあり、結果、今回は、チャクラを探す旅に出ることになった。

今知るチャクラはフィクション?

特集することになって、今まで気になっていた書物を手に取った。リードビーターの『チャクラ』。開いてみて驚いた。チャクラの位置も色も作用も、普段から知るそれとは全然違っていた。この本に載っているチャクラの図は、リードビーターというその著者が、自分自身で見たチャクラを絵にしたものだそうだ。それは今のチャクラとすごく違うのに、リードビーターは「チャクラの概念を整え定着させた人」と語られている…。

このあたりから、混乱が始まった。チャクラって結局、正解は何なのか。

同時に、トウドウ先生にヨガの教典ではチャクラはどんな風に表現されてきたのかを取材した。そうすると、これまた驚くことに、ヨガでもチャクラの概念がどんどん変わっていた。時代によってもヨガの種類によっても流派によっても捉え方は異なっていた。

こうなると、年表を作りたくなる。すべてを一つの軸の上に並べて時間軸で理解したいのだ。それによって何がどう変わっていったのか、何がきっかけで変化が起こったのかなどが、大きな流れの中で見えてくる。

そうしたさまざまなことを年表にのせて整理してみたら、今の「主要なチャクラは背骨に沿って七つある」という概念は、本当につい最近、1970年代から1980年代にかけてのニューエイジの思想の中で整えられ、定着していた。

この流れを知ったのはよかったのだが、心の底では「じゃあ、チャクラの本当は何なのか?」「今まで私達が語ってきたことは間違っていたのか?」と怖くなった。なぜなら、今のチャクラの概念は、そのニューエイジの時代に、誰もが“わかりやすいようにと、”チャクラを背骨に沿って一列に並べ、色も虹色に統一した”からだ! つまり、チャクラがまっすぐ背骨に沿ってあるという事実に基づいたものではなくて、「チャクラ」というフィクションが作られたということなのだ⁉

チャクラの“真実”は何なのか

そうなると、疑問が生まれる。ヨガの本でチャクラの話をする時に、数十年前に「使いやすいように」整えられたチャクラの紹介でいいのか…。

私達が最初にチャクラを紹介したのはもう20年以上前だけど、その時から「主要な七つのチャクラは背骨に沿ってあり…」としている。もちろん、監修者がいての話。その後、さまざまな監修者に聞いているが、基本、そこは変わりない。でも、それは真実ではないのかもしれない…? 今回の事実を知ったことはすごいことなんだけど、それを基にするといろいろなことが大きく変わってしまう。だって土台が崩れてしまうから。

調べれば調べただけ、ヨガとスピリチュアルが入り交じったチャクラの概念は整理された。でも、だからこそチャクラの真実がわからなくなった。今回の特集で何を伝えればいいのか。はっきりと迷宮入りしていた。

悩みの末に出てきた結論

特集の取材を始めたものの、こんな迷宮の真ん中で、立ち止まってしまった。この特集の着地点がわからなくなった。どんな企画にすればいいのか? 特集の核は何なのか?

そんな自分の中の疑問と闘い、たくさんの、いろいろな視点からの資料に囲まれて、わーっとなった時に、ふと混乱が宙に浮いた。その時、いつか聞いた言葉が出てきた。「ヨガは実践哲学」。そうか。だから、いいんだ。だから、こうなるんだ。そう思うと、急に何かが吹っ切れた。

もちろん、そこからも混乱がまたにゅうっと顔を出して、戻ったり、削除したり、違う方向へ行ったりと時間はかかったけど、もうそれでいいんだと突き進んだ。できることは、一つひとつをちゃんと消化して編集することだから。きれいに並べて編集するのがいつものことだが、今回の企画はそういうことではないのかもしれない、と思ったのだ。

今「チャクラはあるのか?」と聞かれたら、やっぱり「ある」と思っている。過去の体験もあるし。でも、正直言って、ちょっと揺れてしまったのは確か。だから、まだまだ続くのだと思う。この特集。私の中で。

 
 

Words:Tomoko Oshima
大嶋朋子。[The yogis magazine]編集デスク。『RETRIEVER』編集長。20代で高校野球を中心にフリーランスライターとして活動。30代になって出版社の社員として編集に携わるように。『Yogini』の創刊よりヨガの世界で編集を続ける。

 

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