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オーム  元は「はい」という応答の言葉 全宇宙を結んで心身を震わせる浄化の響き

【「オーム」は次第に神聖化しマントラに】

元は許可を求められた時「はい、同意します」という意味で発せられる言葉だったが、ウパニシャッドを通して神聖化し、後に聖音として位置づけられたオーム。古代社会は言葉を大事にしているが、インドは特にマントラを重視していた。次第に、ヨガや宗教と切り離せない言葉となった。

【「不滅」、「全宇宙」の意味から心の中で唱える言葉に】

アクシャラ(単音節)であるオームそのものに実は意味はない。ただ音節という形には「不壊、不滅」という意味があり、そこから「オーム=不滅」とされるように。さらに、絶対神 であるブラフマン(最高原理、梵)を表すと転じてもいった。また、ウパニシャドでは「宇宙の根本原理」を表すとされ、 心の中で唱えることが重視されていった。

【発音の仕方で作用が変わる】

「オー」と最初の音を長く伸ばすことが多いが、伝統的には「オ ー」を長く、「(ム)」は口を閉じ、自然に音を止める。「オー」を1の長さ「オー(o)」を2の長さにする。また、構成音のa、u、mに分け、「アウ(ム)」と唱える場合もある。これらはどれでもOKだ。音のバイブレーションを感じられることが目的。正しい発音による微妙なバイブレーションと、それへの集中が大切だ。自分で響きを試してみよう。

声の出し方

オーーームー(近年のスタイル)

オームーーー(伝統的なスタイル)

創造・維持・破壊の原理を表すと主張する考えによる 方法として「アーウー(ム)ー」と唱える方法もある。

【マントラとは心を整える音の処方箋】

マントラは音を心身の微細なレベルに響かせることが目的。響きが、硬くなった心身を震わせて緩ませることができる。それによってリラックスを得られる。

マントラ=音の処方箋 をマインドに垂らしていくと雑念から離れ、心にスぺース(ゆとり) が生まれることで本質的な気づきを得やすくなり、ポジティブなマインドに変わる。

【マントラはチャクラと深い関係にある】

背骨周辺にある七つのチャクラに合わせて、対応するマントラが決まっている。またチャクラの周波数は音階と同じなので、ドレミファソラシの響きもマントラに相当する!?

シ 415.305 hz/om

千の花弁を持つと言われるサハスラーラ・チャクラと対応する。千の花弁は千の音を表して いるため、宇宙的知性と共鳴するという意味。

ラ 369.994 hz/om

第三の目とも言われるアージニャーチャクラと対応する。omの他、二つのマントラとも共鳴。ヴィシュッダ・チャクラと対応。hamの他、16のマントラと共鳴。

ファ 293.665 hz/yam

アナーハタ・チャクラと対応。yamの他、12のマントラと共鳴する。

ミ 277.183 hz/ram

マニプーラ・チャクラと対応する。ramの他、10個のマントラと共鳴する。

レ 293.626 hz/vam

スヴァーディシュターナ・チャクラと対応。6枚の花弁があるとされ、vamの他、6個のマントラとも共鳴する。

ド 261.626 hz/lam

ムーラーダーラー・チャクラと対応する。4枚の花弁を持つとされていて、lamの他、4個のマントラと共鳴する。

【日常遣いできるマントラ】

マントラは心のメンテナンスとして、お祈りやお守りのように活用することができる。ここでは、毎日習慣として「日常遣い」できるマントラを紹介。好きなマントラを日に7回唱えることから始めてみよう。

ロカー(ス) サ マ ス タ ー( ス ) スキ(ヒ)ノー バヴァントゥ

Shanti-mantra:一切生類が平和でありますように。そんなピースフルな願いが込められたマントラ。世界の平和の願い、一人ひとりのマインドのあらゆる葛藤を静めてくれる。

オーム ナマッ シヴァーヤ

Śiva-mantra:トラウマを手放したい! 思考のパターンを変えたい! といった願望を後押ししてくれる三つマントラの中で、一般的に心身の癒し、平和、喜びをもたらすとされる一番有名なもの。

オー(ム) アイ(ム) ガ(ム)

Bija(種)-mantra:Aumは宇宙の根源、Aimは創造・表現、Gamは大地(グラウンディング)の音。宇宙の力は、創造力・表現力を通して、この地で形になる。そうした存在の豊かさを味わえる響き。

(ス)= chanceのce、(シ)= shineのsh /(ス)= chanceのce(摩擦音)、(ム)= I’mのm(鼻音)、(バ)と(キ)は強く発音(気息音)。正確な発音は専門家から学びましょう。

 

出展=『Yogini』Vol.19 / Vol.56 / Vol.63

監修=ヴェーダプラカーシャ・トウドウ

ヴェーダセンター代表。ヨーガ&ヴェーダ哲学、アーユ ルヴェーダ講師、ヴェーダ詠唱家。インド政府公認プロフェッショナルヨーガ・インストラクター(AYUSH省QCI認定)、 同 プロフェッショナルヨーガ検定試験官 。