【光を当てた理由。】Are you yogis?ーマリリン・モンローー

「マリリン・モンローはどんな人?」

ハリウッド女優として誰もが知るビッグネームであるマリリン・モンロー。映画の一場面として、その姿は幾度となく目にしているが、実際に映画を観たことはない。アンディ・ウォーホールの絵としては知っているが、どんな人かまったく知らなかった。

ある時『BSドキュメント』という番組でマリリン・モンローを取り上げていた。それを、なんとなく見た。まったく知らなかった女優の自然な表情と、その人となりを語る周囲の人の言葉を聞いて、私の中でマリリン・モンローに血が通い始めた。

マリリン・モンローは、幼少期、母親との関係から里子に出され、何度も養い親が変わるという経験をしている。それも大きな驚きだった。その時の里親の一人がマリリン・モンローに伝えた言葉は、私自身の背中も押してくれた。それは「本当に大切なのは、あなたがどんな人間かということ。だから、ただ正直に生きなさい」。

こんな言葉に出会えた女性が、ハリウッドが作り出したような「ものを考えていない、頭の空っぽな、きれいなだけの女性」に成長するだろうか?

そんなはずはない、と思った。子どものころに言われた言葉は絶対どこかに残っているし、自分を信じていいと肯定された言葉は、とても大事なはずだから。

そこを基点とするなら、マリリン・モンローはとても魅力的で、正直な人間だったのではないかと思えた。そうなるともっと彼女のことを知りたくなって、いろいろな本を読んでみた。なるべくいろいろな角度からの本を。そうしてわかったのは、“中身のない容姿だけの女優”という印象は、ハリウッドが作り出した虚像だったということ。

自然な笑顔から彼女のヨガを探る

今回使っている写真のうち、P107の白黒の写真は、とても好きな一枚だ。数あるストックフォトの中でも、自然な笑顔が際立っている。これは、私の中にできあがったマリリン・モンローそのものだ。すごくキュートで、幸せそう。

彼女は、トップ女優に躍り出てからも演技について地道に学び、休憩時間は本を読んで知識を得ようとする勤勉で貪欲な面を持っていたという。そんなところも、里親の言葉を彼女なりに大切に抱えて生きていた感じがして、ますます魅力的に映っていった。

芯の通った人なのだという感じがして、ヨガという視点で彼女を追ってみたくなった。

精神的な複雑さに悩まされたマリリン

彼女の女性の肉親は、祖母も母も精神疾患に悩まされたのだという。そして晩年の本人自身も、診察を受けていた。

それを彼女の一面としてどう表現するのか、今回の一番の悩みどころだった。書かないこともできる。悩んでいた一生だったけど、ヨガ的に生きた人としてまとめることができるかもしれない。

でも、何度も結びを書き直した後で、結局、そういうまとめ方は嘘だと思うようになっていた。それでも、まだ、あっちにいったりこっちにいったりと書き直したが、その時に改めて生まれた疑問が「ヨガ的に生きるとはどういうことか」ということ。

この連載は、ヨガ的に生きたと思える人の生き様を紹介している。マリリン・モンローはどうなのか? どうやら聖人のような人生ではなかった。常に悩みの中にいたと思うし、孤独も怒りも抱えて、常に欲求の中にもいたと思う。

でも悩み、迷い、むさぼり、怒り、泣き、もがいていた姿こそが、ヨガなのかもしれないと思ったのだ。彼女は揺れながらもずっと自分を探していたから。その生っぽさこそが魅力なんだと思えた時、マリリン・モンローのことがもっと好きになっていた。

 

 

Words:
大嶋朋子。『The yogis magazine』編集デスク。大型犬専門雑誌『RETRIEVER』編集長。20代は高校野球、健康本、ハワイのガイドブックを中心にフリーランスライターとして活動。30代より出版社社員として編集者に。本誌の前身である『ヨガでシンプル・ビューティ・ライフ』『Yogini』を創刊からすべて手がける。ライフワークは「神様」についての探究。オラクルリーディングを行う。

 

The yogis magazine  Vol.13
4月30日発売
¥1,650(税込)

記事の詳細、お買い求めはこちらへ。