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正しいアライメントのために知るべき二つの関節

正しい姿勢は安定したポーズを生み出す。その姿勢を安定させて支えるのが関節だ。今回は、心身にエネルギーを巡らせる基本姿勢を作るために大切な、二つの関節を解説していく。

たった二つの関節を正しくポジショニングするだけで整うカラダ

ヒジもヒザも、体が折り曲がる個所はすべて関節。その中でも、たった二つの関節を正しい位置にセットするだけで、ヨガのポーズをワンランク上げられる。

その二つが股関節と肩甲胸郭関節だ。この連動する二つの関節を正しいアライメントで動かせば、他の関節や筋肉も正しく使うことができる。アライメントとはポーズにおける体の各部のポジションのこと。

股関節と肩甲胸郭関節が正しい位置にあると、自然と足の裏全体に体重が乗り、拇指球をきちんと踏むことができ、足の内側からも力が抜けていない状態が保たれる。ここからはそれぞれの関節の特徴を見ていこう。

1:肩甲胸郭関節

肩甲骨と肋骨の間の肩甲胸郭関節は、「関節」を包む結合組織である関節包はなく、胸の側面側にある胸腕筋の一つ、前鋸(ぜんきょ)筋で連結した関節だ。背骨は肩甲胸郭関節の動きに付随して動く。

背骨は肩甲胸郭関節に付随して動き、肩甲胸郭関節が前に出ると、肩甲骨は自然と内転し、(内側に引き寄せられる動き)、胸椎は伸展(反る動き)して肋骨が開く。すると遠心性(一方が出ると一方は下がる仕組み)の原理でお尻は後ろにつき出る姿勢になる。

ここで姿勢を保つために大事なのが、二つ目の関節、股関節。股関節を正しいアライメントに整えることで、肋骨も腰椎も理想的なポジションにそろう。

また、肩甲胸郭関節が前に出ていない状態で、肩甲骨を寄せようとすると、肩に力みが生じるため、関節の場所と動きをイメージして動かそう。

2:股関節

股関節とは、骨盤と大腿骨のつなぎ目の関節。左右の腸骨棘を結ぶ線は床と水平で、横から見た時に、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょ=ASIS)と恥骨結合が床に対して垂直面上に並ぶようにアライメントを取るよう心がけよう。

すると股関節がしっかりと伸び、肋骨は正しい位置で締まり、胸郭のみ伸展、大臀筋には適度に力が入り、土台が安定した状態となる。

肩甲胸郭関節と股関節が連動した適切なアライメントになると、脚も頭も自然な場所に収まり、太モモの筋肉が効率よく使われる。骨盤の左右の歪みが生じないように、屈曲する時には股関節から体を折り畳むようなイメージを持とう。

セルフチェックで肩甲胸郭関節の可動レベルをチェック

動きを確認しやすい股関節に対し、意識を向けにくい肩甲胸郭関節。実は日常生活の姿勢のクセやスマホやコンピュータの長時間使用による凝りなどで、肩甲胸郭関節がうまく使えていない現代人は多い。簡単にできるセルフチェック自分の可動域を確認してみよう。

HOW TO
うつ伏せになり手のひらは床に向け体側に。片脚ずつ股関節から脚を持ち上げる。肩甲胸郭関節の可動域がない人は、脚が上がらない、もしくは上がりが悪い。また左右の上がり方で差がある場合は骨盤に歪みがあるので、ヨガの練習の際は、左右差を意識して調整しよう。

教えてくれた人=山坂元一
やまさかもとかず。VIDO代表取締役。パーソナルトレーナー、フィジカルトレーナー。20代で渡米し、科学的トレーニングを学ぶ。その後はヨーロッパで医学的観点の知識を踏まえた研究を重ねる。多くのトップアスリート、業界著名人から信頼され、5000人以上のクライアントを抱える。

文=Yogini編集部