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ヨガの精神世界を学ぶ。瞑想を始める前に知っておきたいこと

“瞑想”のことは聞いたことがあっても、それがどんな世界なのかよくわからない人も多いはず。ヨガをもっと深めるなら、瞑想についてもその効果や基礎知識を学んで、日々のプラクティスにも役立てよう。

強く絶対的な対象物と“つながる”ヨガの瞑想法

瞑想はヨガの重要なトレーニングの一つであると同時に、ヨガの本質そのもの。プラクティスを始める前に、まずヨガの瞑想についての基本的な概念を知っておくことが必要だ。

瞑想と言えば、絶えず襲ってくる雑念と格闘しつつ、アタマを空っぽにする「考えない練習」をイメージする人が多いかもしれない。けれどそれは典型的な誤解。

ヨガの語源は“つながる”という意味。仏教用語でいう“空”や“無”などといった、“ないもの”とつながることはできない。ヨガの瞑想が大きく異なるのは、明確で、強く、絶対的な“対象物”があること。

その対象物は瞑想の種類によってさまざまだ。けれど、いずれにしても最終的に目指すものは、ヨガのゴールであるプルシャ、つまり本来の自分である真我や純粋意識といったものとつながることにある。

そこで『ヨーガスートラ』は、瞑想で訪れるマインドの状態を段階的に説明する。「瞑想の本質はBe(なるもの)であり、結果を期待したり、コントロールはできない。

 

不安定に揺れ動くマインドを落ち着かせる瞑想の効果

 

瞑想を行ったことがある人には、次々と湧き上がる雑念に手を焼いた経験も多いだろう。こうした雑念=マインドの正体についてここでは解説していく。常に動き、変わり続けるのがマインドのそもそもの特徴。特にネガティブな記憶や意識には、強烈な力で引っ張られる。

でも、そこで諦めるのは早い! これにいちいち反応し、つながることで苦しみが生まれるのを知ることがスタート地点だ。続けるうちに、こうした雑念も減っていく。ただし、無意識に動くマインドを落ち着かせる瞑想の効果も、週3回のプラクティスではすぐに戻る。だからこそ日々のライフスタイルに取り入れ、欠かさず続けることが大切なのだ。

そこで初心者にオススメなのが、呼吸を対象物にした瞑想法。ウジャイー呼吸の場合、ノドの奥から立てる自分の音が対象物。

静かな呼吸音そのものにリラックス効果があることに加え、五感を使うことで内側に意識が向きやすく、誰でも安全に行うことができる。呼吸の音が乱れたり、耳に入らない場合があれば、揺れ動くマインドの状態も観察できる。

このように瞑想のプラクティスを続ければ、やがてマインドは日常的に落ち着き、ヨガの原義=つながる力も養える。目の前にいる人とコミュニケーションがしっかり取れたり、チャレンジする決断力、冷静な実行力も身についていく。

“願望”でさえ瞑想の対象物になり得るので、あくまで結果に期待しない前提であれば、願いも実現しやすくなるだろう。

 

瞑想の素朴な疑問に回答!

瞑想のプラクティスは本来、トレーニングを受けた指導者の下で行うのがベスト。ここでは初心者にありがちな疑問を解説。

Question:1:止まらない雑念どうすればいい?

まずは「マインドは常に揺れ動くもの」と認識することから始めよう。湧き上がる雑念のパターンに気づくことは、自分や苦しみの正体を知ることにもつながる。続けるうちに、こうした雑念もだんだん減ってくるはず。

Question:2:瞑想に最適なタイミングは?

一日をいい状態で過ごせる意味で、オススメは朝。アーサナやプラーナーヤーマの後、呼吸が整った時がベストだ。それ以外の時間帯でもかまわないが、日々の変化を感じられるように同じタイミングで習慣にしたい。

Question:3:1回の時間やオススメの頻度は?

まずは1日5分でも毎日欠かさず続けること。それ以上の場合も時間の長さに決まりはなく、集中力が持続する50分以内が目安になる。ヨガティーチャーを目指す人なら、なおのこと、日々の規律として継続することが必要だ。

教えてくれた人=森田尚子
もりたなおこ。クリシュナマチャリアのヨーガ正式指導者。ヴェーディック・チャンティング正式指導者、ヨーガスートラ講師。年に数回インドに渡り、ヨーガセラピーとアーユルヴェーダ(すべてインド政府公認)のトレーニングを受ける。

 

文=Yogini編集部