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チャクラ  体と意識のエネルギーを交換する中枢機能

【チャクラとは?】

チャクラとは、人の生命エネルギーであるプラーナが通る、背骨に沿ってある道(スシュムナーナーディー)上にあるエネルギーセンター。現代のような解剖学の知見がない時代に考えられた体のシステムだ。ただし、現代の解剖学上に相応の臓器がないために、経験によって自ら、ここにチャクラがあると感じることしか確認のしようがない。

主要なものは七つあると言われている。ヨガでは体を「シャリーラ」と呼ぶ。ストゥーラ・シャリーラ(粗大な体・肉体)、スークシマ・シャリーラ(微細な体)、カーラナ・シャリーラ(原因の体)だ。スシュムナーナーディーや、それをコントロールするチャクラはスークシマ・シャリーラに存在し、目に見えないが感じることができるとされる。

人のエネルギーは常に外界のエネルギーと交換され、チャクラはその中継点となっている。肛門(会陰部、骨盤底などチャクラの位置には諸説あり)、性器(下腹、丹田あたりなど)、へそ(みずおち)、胸、ノド、眉間、頭頂とあり、すべて、二本のナーディー(イダーとピンガラー。エネルギーの通り道)がスシュムナーナーディー上で交わるところにある。

もともとはサンスクリット語で「車輪、光の輪、回転する渦」という意味を持ち、それぞれのチャクラは回転していると考える。また、場所により回転数が異なり、それに伴って周波数がある。この周波数はドレミファソラシの音階と同じとされている。

【チャクラの活性】

チャクラはエネルギーが通ることで回転する(活性化する)。人はエネルギー体であり、エネルギーが常に適切に全身を巡っていることが望ましいが、心身の不調により巡りのバランスが悪くなるとチャクラの回転も悪くなり、相当する部位の働きが悪くなる。回転は足りなくても過剰でも不調につながる。

【ヘビがとぐろを巻いている?】

第1チャクラには「ヘビ(カンダ)が3回半のとぐろを巻いている」と表現されることがある。これは、大きなパワーを持つクンダリーニエネルギーが第1チャクラにあり、これはヨガで心身を鍛え、プラーナのめぐりがよくなることで、各チャクラを刺激しながらスシュムナーナーディー上を上昇し、頭頂へ至る。クンダリーニエネルギーが頭頂へ至り、七つ目のチャクラの車輪が十分に回れば、人の心身の活動は最大限のパワーを発することができると考えられている。

【主要なチャクラ】

第1チャクラ/ムラーダーラーチャクラ/肛門(骨盤底、会陰)/赤

生きる力、心身の根源的なパワーに関係し、背的なエネルギーをつかさどる。いわば「根」のようなもので、英語でもrootと呼ばれる。骨盤底に位置し、ここを刺激すると体温が上がり、全身がエネルギッシュになる。感情と関係し、また排泄とも関連。食と感情の毒となるものを吐き出すのがここ。

第2チャクラ/スワーディシュターナチャクラ/性器(下腹)/オレンジ

性力と精神的創造性をコントロールする。心の安定を保つのに大切な、性生活の安定をになう場所でもある。膀胱、直腸、男性の前立腺、女性の子宮、膣などの働きと深く関係する。整うと健康でセクシャルな人になる。

第3チャクラ/マニプーラチャクラ/へそ(みずおち)/黄

へそのあたりにあり、体力、消化・吸収力、排泄作用などを制御。太陽神経叢とつながっているとされ、ここが活性化されると、全身の神経を刺激し、ハツラツとして元気になる。ポジティブさでハッピーを引き寄せる。食べ物だけでなく感情もここで消化・仕分けされ、「いいもの」は代4チャクラと第2チャクラへと運ばれる。

第4チャクラ/アナーハタチャクラ/胸/緑

調和とバランスをつかさどる。巡らせる機能を持ち、第1から第3までの基本的な生命活動をつかさどるチャクラと、第5から第6までのチャクラをバランスよく結合させる。ここのバランスが整うと慈愛を引きだし、心からの優しさに満ちる。「与える」という行為に影響し、他人に与える気持ちが弱まると、このチャクラは閉じる。胸腺や肺、心臓、腕などと関係しているので、呼吸が浅くなったりと胸がふさぐと、心の活動もふさいでいく。

第5チャクラ/ヴィシュッダチャクラ/ノド/水

コミュニケーションや表現力をつかさどる。ノドに位置し、半分は体内、半分は体外にあり、他人と共有されると活性化される。それによりコミュニケーション能力が高まり、説得力のある言葉を話すことができるようになる。自分の言いたいことを言えていれば健康に保てる。そのため自分を表現することは大切。表現に必要なのは空間。空間がないと人は何も言わず、空間がありすぎるとしゃべりすぎる。自分らしくいられる空間作りを考えたい。

第6チャクラ/アージニャーチャクラ/眉間/藍

眉間にあり、第三の目とも呼ばれる。このチャクラが活性化すると、理解力が高まり、直観力に優れ、発想力や想像力、創造力が豊かになる。また無限の智慧とつながるともされる。ここから下のチャクラを調整する場所でもある。自分とつながる時にとても大事な場所で、自分の内面を見ていく瞑想などで活性化しやすい。脳下垂体と関係。

第7チャクラ/サハスラーラ/頭頂/紫

頭頂にあり、松果体と関連。第1チャクラから上昇してきたクンダリーニがサハスラーラに達すると、顕在意識と潜在意識、さらに個人の意識を超える深層意識を統制。自らの脳力を超え、無限の可能性を発揮できるようになる。

【チャクラと音】

七つのチャクラには、それぞれ共鳴するマントラ(エネルギーを表現する音や詩節)がある。一つの母音を含む一音節できているビージャマントラ(ビージャとは種子の意)で、各チャクラに対応するマントラを響かせると、チャクラの活性化を助ける。

第1チャクラ=lam(ラム)/周波数は261.626hz(ド)

4枚の花弁を持つとされ、lamの他に4個のマントラと共鳴する。

第2チャクラ=vam(ヴァム)/周波数は293.626hz(レ)
6枚の花弁があるとされ、vamの他、6個のマントラと共鳴する。

第3チャクラ=ram(ラム)/周波数は277.183hz(ミ)
ramの他にも10個のマントラと共鳴する。

第4チャクラ=yam(ヤム)/周波数は293.665hz(ファ)
yamの他に12個のマントラと共鳴する。

第5チャクラ=ham(ハム)/周波数は349.228hz(ソ)
hamの他、16個のマントラと共鳴する。

第6チャクラ=om(オーム)/周波数は369.994hz(ラ)
omの他に二つマントラとも共鳴する。

第7チャクラ=om(オーム)/周波数は415.305hz(シ)
千の花弁を持つと言われ、千の音を表している。宇宙知性との共鳴を意味する。

【チャクラと現代医学】

チャクラやプラーナは臓器としては存在せず、目に見えない解剖学とされてきたが、現代ではチャクラの働きから、各臓器との関連が語られるようになってきた。そのため、チャクラを刺激することの意味が高まっている。

チャクラの刺激をターゲットにアーサナやクリヤを行うクンダリーニヨガは、アーサナの角度を重要視する。姿勢によってはチャクラを刺激することができないからだ。きちんとチャクラにエネルギーを伝えられた場合は、熱が届き、チャクラにつながる神経や内分泌腺を刺激することができる。その刺激によって心身に影響が起こる。

 

 

写真=樋口勇一郎 イラスト=macco

出典=『Yogini』Vol.41 / Vol.45 / Vol.50/Vol.53 / Vol.54 / Vol.58 / Vol.69