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ビートルズの精神性を変えたのは深いインドの叡智だった

世界的スターがインドで得たもの

世代を越えて語り継がれる世界的スター、ビートルズ。彼らの音楽は平成、令和と時が過ぎ去っても決して廃れることなく、その魅力は健在だ。

そんなビートルズの4人は、音楽シーンで世界の頂点に立った当時、その後の音楽活動の展開を求めてインドへ旅立った。そこで得たものとは何だったのだろうか?

 

瞑想との出会いが彼らを救った

伝説の日本武道館コンサートが行われた1966年、ジョージ・ハリスンはシタールというインドの弦楽器を学ぶために、初めてインドを訪れている。すっかり魅了され、帰国してからも部屋に香を炊き、食事も野菜中心になるほどの打ち込みようだった。

その2年後の1968年、ビートルズはバンドとしての危機を迎える。長年トップスターでいたことによる肉体的、精神的な疲労が重なっていたのだ。

その打開策として、ジョージの発案で4人はインドへ旅立ち、マハリシュ・マヘーシュ・ヨーギーのアシュラムで瞑想した。

物質的に満たされても、精神は満たされないことを痛感し、心の安らぎを求めてインドに行ったビートルズ。後にポール・マッカートニーはこう語っている。

「クレイジーな’60年代の終わり、自分を安定させる何かを求めていた時に、瞑想に出会った。狂乱のただ中にあっても、瞑想することで、心の落ち着きを取り戻すことができる」

音楽的には、『ノーウェジアン・ウッド』以来、インド楽器、およびインド音楽の要素を持った曲が、レパートリーの一つのジャンルとして確立していった。また『トゥモロー・ネバー・ノウズ』、『アクロス・ザ・ユニバース』など、歌詞にも東洋思想の影響を見て取れるものが増えていく。

1970年、ついにビートルズは解散する。最もインドに傾倒していたジョージはその後、亡くなるまでインド哲学を学び、瞑想を続ける。ソロになってからの代表作のタイトルは『All Things must pass(すべては過ぎ去っていく)』。

4人そろってのたった一度の旅行となったインド。そこで得た「瞑想」という自己と向き合う時間は、ビートルズに「西洋的なもの」と対極にある「東洋的なもの」の存在を気づかせることになった。

Profile=The Beatles
ザ・ビートルズ。イギリス・リバプール出身のロックバンド。1962年にレコードデビューし、1970年に事実上解散。ギネス・ワールド・レコーズに「最も成功したグループアーティスト」として認定されている。

写真=Gett yImages 文=Yogini編集部