検索

ミスアライメントの時に体で起きていること

ミスアライメントでヨガをすると体にどんな影響がある?

 
アライメントとは、“骨・関節の配列や並び方”のこと。なぜ骨・関節の配列や並び方が大切なのだろうか。もしあなたが右手にだけ重たい荷物を持って全力疾走したら、何も持たずに全力疾走した時と何が違うだろうか?

答えは骨・関節の配列や並び方が、効率的か非効率的かどうか。つまり、速く走れる適切なアライメントかどうかということだ。ちなみに、速く走れないミスアライメントでは、そのまま一生懸命走り続けることで、ケガにつながってしまう。

前述の例で言えば、右に重い荷物を持って走ったら、肩コリや腰痛を招く原因になるだろう。つまりミスアライメントは、関節痛や腱・筋肉の炎症につながる可能性が大きいのだ。また、効率の悪い動きは適切な呼吸ができない上、代謝も悪くなる。
 

呼吸とアライメントの関係

 

 
「鶏と卵、どちらが先か」と聞かれても、どちらとも言えないように、「いい呼吸」と「いいアライメント」も、同じような関係。

解剖生理学的に言えば「いい呼吸」とは、体に負担がなく、しっかりと全身に酸素を送り届けることができる呼吸。しかし、ここで注意したいのが【いい】とは「最適な」、または「見合った」ということを意味し、「正しい」という意味とは異なるという点。

つまり、その瞬間瞬間に、最適な状態で呼吸をするために見合ったアライメントを探り、本来の機能を引き出すことが求められるというわけだ。

体の硬い人やヨガに慣れていない人が、正しいとされるアライメントに無理やり体を合わせても、いい呼吸はできない。【いい呼吸】は、呼吸の機能を最大限に引き出す、その人にとって最適な【いいアライメント】によって生み出される。
 

体がうまく使えない場合、呼吸はどうなっている?

 
理学療法の目線でミスアライメントとは、①胸式呼吸を深めるための腕の動きができていない、②腹式呼吸を深めるための脚の動きができていない、③胸式呼吸と腹式呼吸を深めるための体幹の動きができていない。このどれか、または全部ができていないのかを観る。

呼吸運動は実に緻密に全身を使って行われるが、ミスアライメントの状態では、その全身のつながりが悪くなるからだ。

例えば胸式呼吸は、指先から始まり、肋骨や骨盤まで伸びる筋肉の動きの流れ(筋膜)によって深められる。また腹式呼吸などでは、足先から始まり頭蓋骨まで届く筋膜によって深まる。

しかしミスアライメントでは、腕や脚、さらには体幹の筋膜をうまく使えないために呼吸を深めていくことができないのだ。

逆に言えば、ヨガをする時、アライメントを意識して手の位置や足の位置を少し変えるだけで呼吸がより深まり、気持ちよくなったりする。このようにアライメントが適切になることで、呼吸を変えることができるのだ。
 

まずは、自分にとって最適なアライメントを

 
快適にヨガをするために欠かせない、気持ちのいい呼吸は、まさに気持ちのいいアライメント表裏一体。

しかし、現代人のライフスタイルでは、どうしても姿勢が崩れ、普段から筋肉が緊張している人がとても多い。だから一生懸命ヨガクラスで呼吸を深めようとしても、なかなか心地よさを感じられない、力が抜けないという人も多いだろう。

そんな時は、意気込んで「いい呼吸」をいきなり目指すのではなく、自分にとって快適かどうかを体に丁寧に確認しながら、少しずつ調整してみよう。
 

教えてくれた人=Koumei(光明van Zeeland)
こうめい・ゔぁん・ぜーらんど。理学療法士・健康運動指導士(ヨガ歴25年)障がい者から芸能人・プロアスリートまで老若男女に指導経験を持ち、現在はオランダを拠点に、「ケガをしない・させないヨガ」をオンライン配信などで展開中。世界中から年間13000人以上が参加。

 
文=Yogini編集部