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自分とつながり、孤独感を解消する

内側に意識を向けてハッピーで自立した自分に

社会的動物とも言われる人間は、他者とかかわらずには生きられない。そんな中で感じる孤独に対して、ヨガ哲学はどう答えるのだろうか?

自分をどう理解し、どう生きるかを説くのがヨガの教え。ヨガは基本的に一人で行うもので、ヨガの教科書と言われる『ヨーガスートラ』にも“孤独”に関する記述はない。ではなぜ、人は孤独を恐れるのか。それは、寂しさや不安といったネガティブな感情を伴うからだ。

これらネガティブな感情の原因となるのは、自分の本質=プルシャに対する無知であり、それをどう乗り越え、世界や他者とどうつながるべきか、その道筋を示すのがヨガ哲学だ。

すべては“無知”から始まる

 

『ヨーガスートラ』では、人間の苦悩(クレーシャ)を生む五つの原因を挙げている。中でもその根源となるのが、自分という真実に対する「無知」(アヴィッディヤー)だ。

私達が「自分」として捉えているマインドの奥には、不変であり続ける本質的な自分(=プルシャ)がある。ここでいう無知とは、本来、悩みや不安といった感情をはじめとする何ものからも自由で、純粋で幸福な存在である自分自身に気づかないこと。

私達は孤独感にさいなまれる時、その原因を自分の性格、他人や周囲の環境などに求めがちだ。これが自分という意識への認識を曇らせ、自分や他人への執着を生み、苦しみの連鎖を生み出すのだ。

まずは、自分を見つめることが大切

 

「自分は孤独だ」、「寂しい」という気持ちは、本来は何によってもおびやかされない、自分という揺るぎない本質を見誤ることで起きる。

こうした苦悩を抱えて他人とつながっても、そこにはまた新たな悩みや苦しみが生まれるだけ。ここでは「無知」から生まれる苦悩の連鎖の例をいくつか紹介していく。同じような思考回路に陥っていないか自分を観察してみよう。

Case1:一人でいる自分をみじめで寂しく思う

「誰にも愛されない、理解されない」と問題を周りのせいにして自虐モードに。孤独を埋めるために友人やパートナーとつながっても、相手を失うことへの不安が新たな執着を生む。

Case2:幸せを運ぶ人が現れるのを心待ちにしている

自分という揺るぎない真実に目を向けず、「私を幸せにする人がきっといるはず」と目の前にない現実を求めている。たとえ現れたとしても、その関係は永遠に続くものではない。

Case3:SNSで皆が楽しそうなようすを見るのがツラい

ものの見方によって、心のあり方も変わる。SNSで疎外感を感じるのか、仲間と一緒にいたい自分の本心に気づくのかも、結局は受け止め方次第。受け身でいるから苦しいのだ。

自分を幸せにできるのは自分だけ

自分と向き合い、その本質とつながることが幸せへのカギ。つまり、孤独を根源から断ち切るには、自分の本質を知り、不安定に揺れ動くマインドに振り回されないことだ。

他者とつながる出発点=自分の自立を促すことで、一人でも、誰かといても、常に心が満たされた状態でいられる。呼吸法などのヨガのプラクティスは、その具体的な実践方法と言える。

感情的になって自分を見失いそうな時こそ、ゆっくりと呼吸をし、マットの上でポーズや瞑想に取り組んでみよう。
 
 

教えてくれた人=森田尚子
もりたなおこ。『ヨーガ・ヴェーダ協会』代表。クリシュナマチャリアのヨーガ正式指導者(インド政府公認)。ヴェーディック・チャンティング正式指導者。 https://www.yoga-veda.jp/

 
文=Yogini編集部