大切なのは健康寿命
言わずもがな、高齢化が年々進んでいる日本。それに加え、医療の進歩で平均寿命は年々延び続けている。
2001年の平均寿命は女性が84.93歳、男性が78.07歳。そして2016年では女性が87.14歳、男性が80.98歳。これだけ見ると、長生きの人が増え、“いい傾向”のように感じる。
しかしここで考えたいのが、健康寿命について。健康寿命とは日常生活を制限されることなく、健康的に生活を送ることのできる期間のこと。「日常生活の制限」とは、介護や病気などを指し、自立して元気に過ごすことができない状態だ。
2001年の健康寿命は女性が72.65歳、男性が69.4歳。そして2016年では女性が74.79歳、男性が72.14歳だ。
2001年では平均寿命と健康寿命の差は、女性が12.28年、男性が8.67年。2016年では女性が12.35年、男性が8.84年だ。
これらの数値からわかるのは、平均寿命に比べて健康寿命の延びは小さく、差が開いているという現状。特に女性は、その差が男性と比較して大きい。
せっかく長生きしても、寝たきりというのはもどかしい。今、日本で求められるのは、いかに健康寿命を延ばすかということ。高齢化社会の日本において、シニア世代が生き生きと暮らすことは社会全体の活力にもつながる。
健康寿命を延ばすためのヨガ
さまざまな効果が期待できるヨガのポーズや、呼吸法。もちろん、シニア世代の健康維持にも効果的。高齢化が進んでいる今、シニア世代のヨガニーズも高まっている。
一般的なヨガクラスでも若い人だけではなく、シニア世代が参加している光景も多く見かけるようになった。ヨガを指導する人の中には、シニアの生徒がいるという人も珍しくはないだろう。
幅広い世代の人が同じ空間で、一緒に呼吸をする。それはとても心温まる時間であり、互いにとって刺激になる体験だ。しかし、年齢が違えば体の状態が違うのは当たり前。高血圧、骨粗鬆症、認知や筋力低下などシニア世代ならではの悩みを抱える人も多い。
それらのメカニズムを理解し、適切なヨガを提供できるかできないかは、ヨガ指導者にとっては大きな分かれ目。生徒だけではなく、自分自身や家族もやがて歳を取り、シニア世代になる。だからこそ今、指導者だけではなくヨガをするすべての人にとって、自分や家族のためにもシニアヨガを学ぶ意義は大きい。
例えば、歳を重ねることで膝関節に負担がかかって変形し痛みが生じる変形性膝関節症。関節包のマッサージや、ヒザの筋膜リリースなどによって、状態の改善が見込める。
他にも、加齢とともに低下する免疫を上げる効果のあるヨガのポーズや、血管に意識を向けてポーズを取ることで高血圧の改善など、仕組みを知ることで、安全にかつ効果的にシニアにもヨガを楽しんでもらうことができる。
また、ヨガを楽しむことでポジティブな気分になるというのも、健康寿命を延ばすのに大きな効果を発揮するだろう。
指導者として、より多くの人に安全にヨガを楽しんでもらいたい人や、自分や家族の健康を考える人にとって、シニアヨガを学ぶという選択はとても価値のあることだ。
文=Yogini編集部
【シニアヨガのオススメ講座】
*シニアヨガ指導者養成講座
【講師】
高村マサ先生
(※本記事監修)
【この講座で学べること】
・リハビリテーションとしてのヨガ
・高血圧症
・フレイル
・変形性膝関節症
・認知症と脳の機能
・発生学から見たシニアヨガ
・高齢者に必要な筋力トレーニング
・マット・椅子・プロップスを使ったシニアヨガ
・シニアの疾患とその対処法
・安全面に配慮したヨガクラス構成